東京大学と村田製作所は、SDRを活用した小型ローカル5G基地局とミリ波通信モジュールを組み合わせ、ローカル5Gミリ波基地局を開発した。市販端末との接続検証では、いずれも良好なスループット性能が得られた。
東京大学は2025年5月22日、ソフトウェア無線技術(SDR)とミリ波通信モジュールを組み合わせたローカル5Gミリ波基地局を開発したと発表した。村田製作所との共同研究契約に基づくもので、市販端末との通信に成功した。
両者は今回、SDRを活用した東京大学の小型ローカル5G基地局と村田製作所のミリ波通信モジュールを使用し、ローカル5Gミリ波基地局を開発。電波暗室内で実施したシステム評価では、帯域幅100MHzのバンドn257において、下り300Mbps、上り70Mbpsのスループットを達成した。ローカル5Gミリ波対応端末のSamsung Galaxy S22、京セラK5G-C-100A、NETGEAR MR6550との接続を検証したところ、いずれも良好なスループット性能が得られた。
ビームフォーミング機能を活用した評価では、水平および垂直方向に±20度以内のビーム角度において100Mbps以上のスループットを維持。1台のミリ波モジュールによるTDD評価でも、バンドn257で下り270Mbps、上り30Mbpsのスループット性能を確認した。
5Gミリ波通信は、2020年からサービスを開始しているが、通信での使用率は0.2%にとどまっている。ミリ波は電波が届きにくく、対応基地局は大型かつ高価なため、現状では十分に設置されていないため、普及が進まない要因となっていた。今後両者は、基地局と端末間の動的なビーム角度制御を開発し、実用的なローカル5Gミリ波基地局の実現を目指すとしている。
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