ダイハツ工業は軽自動車「ムーヴ」を約10年ぶりにフルモデルチェンジして発売した。同社として国内では2022年7月発売の「ムーヴ キャンバス」以来の新型車となる。2023年4月に海外で認証不正行為が発覚して国内にも問題が広がり、新型車の投入が止まっていた。
ダイハツ工業は2025年6月5日、軽自動車「ムーヴ」を約10年ぶりにフルモデルチェンジして同日から発売したと発表した。同社として国内では2022年7月発売の「ムーヴ キャンバス」以来の新型車となる。2023年4月に海外で認証不正行為が発覚して国内にも問題が広がり、新型車の投入が止まっていた。
ムーヴとしては初採用のスライドドアをはじめとする快適性向上の装備や、ADAS(先進運転支援システム)などで軽自動車としての魅力を高めながら、消費税込み135万円からという価格を実現した。量販グレードと想定する「X(2WD)」でも消費税込み149万円に抑えた。月間販売目標台数は6000台で、ダイハツ九州 大分(中津)第2工場(大分県中津市)で生産する。
外板やインテリアなど目に見えるほとんどの部分は新たに起こした部品だが、ボディーやシートの内部骨格、スライドドアの開口、ADAS用のステレオカメラなど、性能にかかわる部分はムーヴ キャンバスと共用しながらコストを抑制した。装備もユーザーのニーズに合わせて必要十分な範囲を見極めた。部品だけでなく製造原価も低減する地道な積み重ねで価格競争力を持たせた。
軽乗用車の市場を車両タイプ別にみると、いわゆる「スーパーハイト系」が年々シェアを伸ばして販売比率の半数を占めている。それまで主流だった「ハイト系」や、2ボックスタイプはシェアが減少し続けている。また、子どもや高齢者を乗せるユーザーに人気のスライドドアは定番の装備となり、シェアは6割まで高まった。
ムーヴのユーザー層も変化した。かつては若年層や子育て世代が大多数だったが、先代の6代目ムーヴでは過半数が子離れした世代だった。子離れした世代は「多くの消費カルチャーをけん引してきた目利きの世代だ。商品価値とコストのバランスに厳しい相場観を持つなど、合理的な選択やこだわりを重視する」(ダイハツ工業 製品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏)と想定し、ムーヴらしさを時代に合わせて継承/進化させながら7代目となる新モデルを開発した。
ムーヴと同じくハイト系で、スライドドアを搭載するムーヴ キャンバスを通じて、ダイハツはハイト系でのスライドドアのニーズに手応えを得た。軽自動車は女性ユーザーの比率が高く、6割が女性だ。なかでもムーヴ キャンバスは女性ユーザーが8割で、特に女性比率が高い。「スライドドアが欲しいがムーヴ キャンバスではかわいらしすぎる」というユーザーをベーシックな新型ムーヴで取り込む。
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