日本の製造業のDXは、大企業ではボトムアップ、中小企業ではトップダウンで進む:ものづくり白書2025を読み解く(1)(1/3 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2025年版ものづくり白書」が2025年5月30日に公開された。本連載では「2025年版ものづくり白書」の内容からDXや持続的な競争力などについてのポイントを抜粋して紹介する。
経済産業省、厚生労働省、文部科学省は2025年5月30日に「2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」を公開した。
ものづくり白書とは「ものづくり基盤技術振興基本法(平成11年法律第2号)第8条」に基づき、政府がものづくり基盤技術の振興に向けて講じた施策に関する報告書だ。2025年で25回目の策定となる。経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で作成しており、モノづくりに関する基礎的なデータや、その年の課題や政府の取り組み、モノづくり振興施策集などを紹介している。
本稿では、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みの現在地について、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」を用いて解説した第2章第3節の内容をまとめた。
「製造」や「生産管理」「事務処理」などでデジタル技術活用が活発
デジタル技術を活用した業務改善の状況について見ると、「事務処理」で43.9%、「生産管理」で43.7%、「製造」で39.9%、「受注、発注、在庫の管理」で35.2%が実施しているという調査結果となった。モノづくり工程の中では製造や生産管理などが最も高くなっており、スマートファクトリーなどにより、製造工程でのデジタル活用が特に積極的に進められていることがうかがえる。
一方、従業員別に見てみると、従業員数が多い企業の方がデジタル技術の活用の比率が高い結果となっている。例えば、「製造」では、従業員数301人以上の企業では67.9%が実施しているのに対し、従業員数50人以下の企業では31.5%となっており、36.4ポイントも差が生まれている。
製造工程でAIを導入しているのは12.2%
製造工程で導入している技術では「CAD/CAM」「ロボット」「プログラミングソフトウェア、情報システム」「制御技術」「センサー」などが多くを占めた。また、「AI(人工知能)」についても12.2%が導入しているとしていた。特に大手企業では31.3%が既に導入しており、画像や言語認識技術、生成AIなども含め今後さらに広がるとみられている。
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