ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は家計の所得格差を表す「ジニ係数」について解説します。
今回は私たち家計の所得格差を表す「ジニ係数」について紹介します。
これまでさまざまな経済指標をご紹介してきましたが、そのほとんどが平均値でした。もちろん、平均値の時系列的な推移や国際比較により、さまざまな水準や傾向を把握することができます。しかし、それだけでは不十分な場合があります。
特に、所得や資産などは、平均値を見たところで、困窮する人と裕福な人がどれだけの割合で分布するのかはうかがい知れません。集団内のほとんどが同じ所得の場合と、多くの人が困窮状態で超富裕層がごく少数いるだけの場合で、平均値が同じであることだってあり得るためです。
こういう場合でも、集団内の分布を把握することで、より実態を詳しく知ることができます。特に所得については、皆さんも関心の高いテーマではないでしょうか。
前回、前々回で紹介した等価可処分所得は、全体の平均値以外にも、その分布から所得格差や貧困率を計算する際にも利用されます。そこで今回は、所得格差を数値で表すジニ係数について見ていきましょう。
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参照するのは全国家計構造調査です。全国家計構造調査の用語の解説によると、ジニ係数とは次のように説明されています。
年間収入等の分布の均等度を表す指標の一つ。0〜1の値をとり、0は均等を示す。1に近づくほど不均等となる。
つまり、ある集団の所得水準について、その均等度を0〜1の数値で表し、1に近づくほど格差が大きいという指標がジニ係数ということになります。
まずはその基本的な考え方から確認していきましょう。
ジニ係数の考え方(全国家計構造調査 用語の解説から抜粋)
世帯員を等価可処分所得等の低い順に並べ、世帯人員数の累積百分率を横軸とする。そして、等価可処分所得等の累積百分率を縦軸にした散布図を描く。この散布図の点を結ぶ弓形の曲線をローレンツ曲線という。
全ての世帯員の年間収入等が完全に同じであれば、ローレンツ曲線は、原点を通る傾斜45度の直線(均等分布線という)となる。
均等分布線とローレンツ曲線で囲まれる弓形の面積が、均等分布線より下の三角形の面積に占める割合がジニ係数である。
図表にすると、以下の図1のようなイメージです。
均等分布線とローレンツ曲線で挟まれた領域の面積Sが、三角形O-N-Tの面積に占める割合がジニ係数ということになります。
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